「日本マイクロソフト(MS)は22日、夏季限定で週休3日制を導入すると発表した。2019年8月の1カ月間の金曜日を全て有給休暇とし、国内の全オフィスを閉鎖する。対象は正社員約2300人。」H31.4.23火 日経15面 企業2
事務所のカレンダーでは、8月の金曜日はこのようになっています。
金曜日が5日あります!
これは…
社労士という職業柄「5日」とみるとピンとくるものがあります。
なぜなら、実は、今年の4月から労働基準法が改正になり、従業員に5日の有給休暇を与えなければならなくなったからです。
大企業も中小企業も等しく4月から施行されました。
これはすべての企業に課された義務です。
国民の代表が国会で決めた法律ですから、従う以外に選択肢はありません!
ちなみに罰則は「30万円以下の罰金」と定められています。
この労働系の罰則特に罰金について、交通違反の反則金みたく「払ったらええねやろ?」と開き直るむきがあるように、個人的に感じますが、少し甘いように思います。
これは「一人当たり」30万円だからです。
5日の有給がとれない従業員が10人いたとすると、30万円×10人分=300万円 の罰金がキャッシュアウトすることになります‼ 15人だと450万円…
まあ… それはともかく…
8月のカレンダーに金曜日が5日あることと、マイクロソフトが「8月の1カ月間の金曜日を全て有給休暇」とすることは、無関係ではないと思います。
この法改正を念頭に、落ち着いて記事を読むと透けて見えるものがあります…
8月の金曜日に取得するのは「全て有給休暇」とはっきりと記事には書いてあります。
「有給休暇」という限りは「法定」の有給休暇のことを言っているのだと思います。
さらに…
「通常の有給休暇に加えて新たに5日分の休暇を付与する。」同記事
マイクロソフトは、8月の金曜日を本人の保持している有給休暇を充当して休みとして、その代わりに会社が独自に「新たに5日分の休暇を付与する」と言っているのです。
休みは休みでも、法定の休みを会社独自の休みに入れ替える作戦!ではないか?
つまり…
マイクロソフトの新制度「夏季限定で週休3日制」が導入され、自らの有給休暇を消化したとしても、代わりの休みを会社がチャージしてくれるので、本人の保持する「休暇」の数は変わりません。
ところが‼
「法定」の「有給休暇」の数は確実に5日分消化される!という仕組みです。
法定の有給休暇の時効は2年ですが、マイクロソフトが新たに付与する休暇の時効は何年にしているでしょうか?
時効の起算日(休暇の付与日)は何月何日なのでしょうか?
就業規則にはどのように定めているのでしょうか?
社労士という職業柄… そんなことが大変気になります…
なぜなら「夏季限定で週休3日制」は、有休5日取得をクリアーするためのなかなかよく考えられた手法だと思うからです。
社労士としては、細かな決まりを整えて、チャンスがあれば、どこかの会社に提案してみたくなる仕組みです。
とはいえ…
それは社労士の手練手管かもしれず…
マイクロソフトの「本来」の趣旨を押さえておきましょう。
「社員の生産性や創造性を向上させることが狙いだ。休暇の使い方は原則として自由だ。自己啓発の機会として活用するはもちろん、家族で旅行したり、社会貢献の一環でボランティアに参加したりして様々な経験を積んでもらう。」同記事
この大義を果たすためには、個人的にはまとまった休暇の方がありがたいと思いますが… そこはそれぞれの会社ごとの考え次第ということですね。
挿絵のようなバカンスを取得するには、まだまだ時間がかかりそうです…
それとも…
そもそも趣旨が違うのでしょうか?
頑張りましょう。