「東京商工リサーチは五日、2018年度の人手不足関連倒産が前年度28.6%増の400件となり、13年度に調査を始めて以来、最多だったと発表した。」H31.4.6土 中日11面 経済
人手不足倒産が、今にもこちらに押し寄せてきそうな書きっぷりですが、本当のところを冷静に調べてみましょう。
「要因別の内訳でみると、代表者や幹部役員の死亡などにより後継者難の倒産が7.6%増の269件で最多だった。人手の確保が難しくなって事業継続に支障が生じた求人難が約2.6倍の76件、人件費高騰が約2.1倍の31件、従業員の退職が38.8%増の25件で続いた。」同記事
「人手不足倒産」というと、たとえばトラック輸送の会社で例えるならば、次々に受注できる輸送に使えるトラックの台数は十分あれども、トラックを運転するドライバーがおらず、仕事をこなせず、取れる仕事も見送らざるを得ないが、トラック維持費や本社の水光熱費や事務員の人件費は変わらずかかるわけで、ついに運転資金が底をついて…
倒産。
わたしはにこのような「人手不足倒産」がスタンダードだと思い込んでいました。
記事はそうではない‼といっています。
どうやら私のかってな思い込みだったみたいです。
7割近くが「代表者や幹部役員の死亡などによる後継者難」といっています!
「後継者難」… 67%です。
私が思い込んでいた「人手不足倒産」のイメージは、3分の1の33%にすぎません。
思い込みは間違い!と言わざるを得ません。
「人手不足倒産」とは、すなわち中小企業主の高齢化問題とも言えそうです。
日本全体が高齢化していますので、これは中小企業の問題というよりも「日本の問題」ということになります。
「地域別では、関東の173件が最も多かった。九州は62件、中部は43件、近畿は39件、東北は28件、中国は19件、北海道は18件、四国は13件、北陸は5件だった。」同記事
関東には企業数が当然多いと思いますので、このままでは多い少ないは判断できません。
中小企業庁が調査している「市区町村別中小企業数(平成30年11月30日更新)」をもとに割合を出してみるとこんな感じです。
注)とかく議論となる「新潟」は電力供給のある「東北」に参入しました。「山梨」は「関東」に参入しています。「沖縄」を「九州」に参入するのは抵抗がありましたので、除外しています。「企業数」には大企業、中小企業のいずれも含む数です。
九州が0.017%で第一位です。
関東は企業数も多ければ、人手不足倒産率も高いという結果です。
(ちなみに「沖縄」を「九州」に無理やり参入したとしても「人手不足倒産率=0.015%」で関東と同率一位で、依然として一位であることにかわりはありません。)
「人手不足倒産率」は全国で0.011%です。
10万社に10社が人手不足倒産をする。
その10社のうちの7社が、後継者が見つからずに廃業する。
あとの3社(つまり10万社に3社)が人手の確保難で倒産する。
この数が多いとみるのかどうかは、今後の動向にゆだねるしかありません。
増加傾向にある…ということは事実のようですが…